電気代の高騰で家計のやりくりに悩む家庭が増える中、「ポイントが貯まる電気」というキャッチコピーで登場したのが、2025年11月スタートのふるなび電力です。
ふるさと納税サイトで有名な「ふるなび」が運営するという安心感もあり、気になる人は多いでしょう。
ですが、仕組みをよく理解せずに契約すると「節約どころか逆に電気代が増えた」という結果になりかねません。
この記事では、ふるなび電力の特徴を「初心者にもわかりやすく」解説しながら、メリット・デメリット、そして最大の注意点である市場連動型プランの仕組みについて詳しく紹介します。
ふるなび電力の特徴
ふるなび電力の基本的なポイントは次の3つです。
- 電気代に応じて「ふるなびコイン」がもらえる
- コインはAmazonギフトカードや楽天ポイントなどに交換可能
- 非化石証書を使い「実質再エネ100%」の電気を供給
「電気を使えば使うほどポイントがもらえる」というわかりやすい仕組みですが、実際の還元率や電気代のリスクを正しく理解する必要があります。
メリット:お得感と環境配慮
ポイント還元がある
ふるなび電力は、電気代(税抜金額)の10%をコインで還元するとしています。ただし実際には税込み換算で約9.1%、再エネ賦課金などは対象外となるため実質8%前後台の還元率です。
それでも他社の電気料金プランと比べても高い還元率であることは間違いありません。
再エネ100%を実現
非化石証書を活用し、供給電力を「実質再エネ100%」としています。家庭のCO2排出削減に直結するため、環境意識が高い層には魅力的です。
契約の縛りがない
解約金や初期費用はゼロ。試しに契約して合わなければすぐに解約できるので、挑戦しやすい仕組みです。
デメリット:リスクと制約
最大の注意点は「市場連動型プラン」
ふるなび電力の料金プランは、電力市場の価格に合わせて30分ごとに単価が変動する「市場連動型」です。
これは一見「柔軟で安そう」に思えますが、実は大きなリスクがあります。
市場連動型プランの仕組みを詳しく解説

市場連動型プランでは、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格を基準に電気代が決まります。例えば次のような特徴があります。
- 電気代は30分ごとに変わる
- 電力需要が少ない深夜や春秋は安くなることもある
- 需要が集中する猛暑日や寒波の時は急騰することがある
実際に2021年1月、寒波と燃料不足で電力市場が混乱した際には、ふるなび電力と同じタイプの市場連動型プランを利用していた家庭の電気代が東京電力の標準プランの約3倍に膨れ上がったケースがありました。
1万円程度で済むはずの電気代が3万円近くになったのです。
なぜこんなにリスクが大きいのか?
通常の「従量電灯」プランは、大手電力会社が市場価格を吸収して調整してくれるため、電力取引価格が高騰しても消費者に負担はかかりません。
しかし市場連動型はその調整がなく、価格変動がダイレクトに反映されます。
言い換えれば「株価のように動く電気代」を選ぶことになるのです。
オール電化には不向き
ふるなび電力にはオール電化向けの夜間割引プランがありません。エコキュートを使う家庭では、結果的に大手電力会社のオール電化プランの方が安くなる可能性が高いです。

口座振替が利用できない
支払いはクレジットカードかふるなびコインのみ。口座振替を好む人には不便です。
ふるなび電力はどんな人に向いている?
ふるなび電力をおすすめできるのは、次のような人です。
- 電気代の変動リスクを理解した上で試してみたい人
- ポイント還元を積極的に活用したい人
- 再エネ100%に魅力を感じる人
逆におすすめできないのは、
- 毎月の支出を安定させたい家庭
- オール電化住宅に住んでいる人
- カード払いを避けたい人
まとめ:お得さの裏にリスクあり
ふるなび電力は「ポイント還元」と「再エネ100%」という大きな魅力がありますが、その裏には市場連動型のリスクが隠れています。
平常時は安くても、電力市場が荒れたときには数倍の請求が来る可能性を覚悟しなければなりません。
もし契約を検討するなら、必ず他の新電力や大手電力のプランとも比較し、ライフスタイルに合っているかを見極めましょう。
「得するか損するか」ではなく、「自分の家庭に合っているかどうか」が最重要ポイントです。